
<はじめに..>
こんにちは。
今年56歳 犬好き初心者ベーシスト mitsuru..です。
本日も<Wonderful Wonder Words>にお越しくださいまして誠にありがとうございます。
今回も前回に引き続き演芸のジャンルから、
落語 文字起こしシリーズ第4弾『火焔太鼓』をお届けいたします。
<火焔太鼓>
『火焔太鼓(かえんだいこ)』は滑稽噺に分類される古典落語の演目の一つで、和太鼓の一種の大太鼓の別称である「火焔太鼓」をめぐる古道具屋の亭主とその女将による会話劇です。頼りなく損ばかりしている亭主と口は悪いがしっかり者の女房の軽快なやり取りがとっても愉快で清々しい名作中の名作です。
<古今亭志ん朝>
今回も高座で演じるのは三代目古今亭志ん朝(1938-2001)。
父である五代目古今亭志ん生(1890-1973)が仕立て上げ繰り返し演じた十八番の一つである『火焔太鼓』を見事に演じています。ゆったりとした語りの志ん生と立て板に水語りの志ん朝。名人から天才へと受け継がれた名作はこれからも永遠に生き続けて行くことでしょう。
<上と下>
今回もこれまでと同様、実際の高座で噺家さんの話す向きである「上」と「下」に合わせて会話の文字が進んで行きますので、以下の通りに読み進めていただければと思います。

<開演>
出囃子「老松」と共に古今亭志ん朝師匠の登場です。




































<サゲ>
太鼓が300両もの大金で売れたことで喜び合う旦那と女将。
調子付いて今度も音の出る物を仕入れようと提案した亭主を女将があっさりと往なすように放った
『半鐘はいけないよ。おじゃんになるから。』
落語の噺の最後を締めくくる一言を「オチ」とか「サゲ」と言われますが、このサゲはおそらく古典落語の中で一,二を争う程に有名なサゲではないでしょうか。
「半鐘」とは、江戸時代に火の見櫓に取り付けられ火災発生時などに鳴らされた小型の釣鐘のことで、発生の際には乱打によって、鎮火の際には2度鳴らすことによって周囲に知らせたと言います。
この鎮火を知らせる「ジャンジャン」が「終わり」や「おしまい」の意味となり、そしてさらには「物事が途中で駄目になる」とか「物事が失敗に終わる」という意味合いになって「おじゃんになる」と言われるようになったという説があります。
そしてここでは半鐘を鳴らすことが即お終いになるといった使われ方をしています。
半鐘を鳴らすことで『お終いになる』ではなく『おじゃんになる』っていう方がお洒落で面白いですよね。
<参考>
前回の『井戸の茶碗』で当時のものの値段を現代に置き換えることをやってみました。
江戸中期ごろの貨幣価値を現代の相場に置き換えて
1両=10万円/1文=25円としました。
ここでは新たに「分(ぶ)」と「朱(しゅ)」という単位が出て来ましたので今回も同じ相場に基づいて計算しますと、
金1両=4分=16朱なので
1分=25,000円/1朱=6,250円となり、
よって、火焔太鼓の価格は、亭主が買取った額:1分2朱=37,500円/女将さんが命じた値段:2分=50,000円がお大名のお殿様に売った額:300両=3,000万円になったのでした。
とんでもない儲けだったんですね。
夫婦の感情に火が付く様もまさに半鐘の知らせのようでしたね。
最後にもう一度半鐘を鳴らせばそれを鎮火してしまうという意味もあったのでしょうか…。
<おわりに..>
いかがでしたか?
大変長い「枕」(=落語本編前の導入部分)から始まりましたが、とっても面白くて親しみやすいお噺だったと思います。
甚兵衛さんと女将さん、そして甚兵衛さんとお大名。とにかく会話のテンポがよくてスピーディーに場面が展開されて行きます。
そして何と言っても、太鼓が300両で売れると分かった時の甚兵衛さんの号泣。
会場の沸き立つ様が非常に印象的で私も観客の一人として歓喜の渦に飲み込まれました。
あんなに威張っていた女将さんの狼狽の様子も可笑しくて立場逆転かと思いきややっぱり女将さんには頭の上がらない甚兵衛さんなのでした…。
最後に。
今回の取り組み、一言一言,一音一音正確に忠実に聴き取って文字に起こそうと取り組んでまいりましたが、どうしても聞き取れない箇所がいくつかありました。
相すみませんでした。
今回はこれまでと致します。
最後までお付き合いの程、誠にありがとうございました。
お後がよろしいようで…。


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