Intro.
こんにちは。
54歳犬好きギター少年mitsuru..です。
今回は、私の大好きな「昭和歌謡曲TOP25」を披露したいと思います。
「歌謡曲」とは、昭和初期に日本のポピュラー音楽を指し示す用語として用いられるようになりました。
戦後、「ムード歌謡」,「ロカビリー」,「グループサンズ」,「フォークソング」などの様々なジャンルのブームを経て多様化が進み、1970年代~1980年代にかけてアイドル歌謡が全盛を迎えるに至ります。
この歌謡曲黄金時代の代表的な歌手は、沢田研二さん,キャンディーズ,ピンクレディー,山口百恵さん,郷ひろみさん,西城秀樹さん,藤圭子さんなどなど綺羅星の如くのスターたち。
そして作詞家の阿久悠さんと作曲家の筒美京平さんが時代のど真ん中にどっしりと君臨されていました。
その後、「ニューミュージック」や「ロック」,「J-POP」などが隆盛を極めて行きますが、2010年代後半からSNSを媒体として「昭和歌謡」の再ブームが起こります。
複雑なメロディーや分かりにくい歌詞が多くみられる今の音楽シーンへの反動でしょうか。
海外でも再評価され、令和の時代においても若い世代に歌謡曲ブームが到来したと聞くととっても嬉しくなります。
洋楽好きな私にとっても昭和歌謡曲を聴くと何だかホッとします。
昭和歌謡には溢れんばかりの名曲があります。
それでは早速私の大好きな歌謡曲TOP25を紹介します。
TOP25
木綿のハンカチーフ
①木綿のハンカチーフ(1975.12.12)
歌:太田裕美/作詞:松本隆/作曲:筒美京平
歌は、70年代中期に大活躍されたアイドル歌手太田裕美さん。
この曲は、何と言っても、太田さんの可愛い歌声とファルセット(裏声)がとっても魅力的です。
作詞は、伝説のロックバンド「はっぴいえんど」のドラマーから作詞家に転身した松本隆さん。
後に「赤いスイートピー」や「スニーカーぶる~す」,「ルビーの指環」,「ハイスクールララバイ」,「硝子の少年」,「Romanticが止まらない」などの作詞を手掛け、J-POPの大ヒット曲を連発する大作詞家になられます。
作曲は、「ブルー・ライト・ヨコハマ」,「また逢う日まで」,「スニーカーぶる~す」,「Romanticが止まらない」,「なんてったってアイドル」,「抱きしめてTONIGHT」などなど、昭和から平成にかけて数えきれない大ヒット作品を世に送り出した日本を代表する大作曲家、筒美京平さん。
この黄金コンビで作られた楽曲は何と390曲もあるとか。80年代はこのコンビが歌謡界を席巻することになります。
4番まである歌詞は、都会へ出た恋人が早く戻ってくることだけを願って贈り物(=都会で流行りの指輪・スーツを着た彼氏の写真)を断り続けてきた女性が、相手の心が自分から離れていると分かったときに初めて贈り物(=涙を拭く木綿のハンカチーフ)をねだるというストーリーです。
明るい曲調に明るい歌声が乗って、こんな悲しい歌になるなんて、まるで魔法がかかっているようです。
最後には彼女だけではなく、私たち聞き手の心にもハンカチが差し出されるかのようなそんな切ない心情に陥ります。
思秋期
②思秋期(1977.09.05)
歌:岩崎宏美/作詞:阿久悠/作曲:三木たかし
歌は、アイドルでデビューしてから今日に至るまで日本歌謡界の歌唱力トップをひた走る岩崎宏美さん。
作詞は、「津軽海峡・冬景色」や「また逢う日まで」,「林檎殺人事件」,「街の灯り」,「わたしの青い鳥」,「時の過ぎゆくままに」,「恋のダイヤル6700」,「五番街のマリーへ」,「北の宿から」,「せんせい」そして「ペッパー警部」や「UFO」の他ピンクレディーの一連の大ヒット曲を手掛け歌謡曲全盛時代を作られた昭和の大作詞家阿久悠さん。
タイトルを“思春期”との対で“思秋期”と名付け、青春の終わりの切なさと若さゆえのもどかしさを見事なまでに描かれています。
『青春はこわれもの 愛しても傷つき』『青春は忘れもの 過ぎてから気がつく』は秀逸かつ絶品。
『お元気ですかみなさん。いつか会いましょう。』は私の心の琴線を大きく揺らします。
作曲・編曲は、「津軽海峡・冬景色」や「時の流れに身を任せ」など多くのヒット曲を手掛けた歌謡曲や演歌の大作曲家、三木たかしさん。
ダイナミックな展開で、物語の終盤これ以上にない盛り上げを演出されます。
岩崎宏美さんによってこれまで長い間歌われて来たこの楽曲、私には時代時代で趣が異なって聞こえます。
若い頃の完全ファルセットなしで張り上げるような力強い歌唱は素晴らしく、やがて大人となり有り余る表現力でさらなる名曲に仕上げているのは(ファルセットを使うようになったのは少し残念ではありますが…)、さらに素晴らしく、私としては両方を兼ね備えた2000年当たりの歌唱が一番好きです。
ひなげしの花
③ひなげしの花(1972.11.25)
歌:アグネス・チャン/作詞:山上路夫/作曲:森田公一
歌は、この曲でセンセーショナルなデビューを果たした香港出身の歌手アグネス・チャンさん。
高く澄んだ可愛い歌声と愛くるしいルックス、そしてたどたどしくも一生懸命に日本語で歌う姿が日本人の心を掴み一躍国民的アイドルになります。
作詞は、「夜明けのスキャット」,「翼をください」,「瀬戸の花嫁」など数多くの大ヒット歌謡曲を手掛けた山上路夫さん。
作曲は、「恋する夏の日」や「あの鐘を鳴らすのはあなた」などの楽曲を手掛け、後に「青春時代」が大ヒットする「森田公一とトップギャラン」のリーダー森田公一さん。
シンプルな歌詞とメロディーによってアグネスさんの可愛らしさが溢れ出ています。
編曲の馬飼野俊一さんによるとっても可愛らしいイントロは、瞬く間に聴き手の心を捉えます。
冒頭「おっかのうえ・・・」から始まるスタッカート気味の歌唱は、アグネスさんのキュートでキャッチーな魅力満載で、もう一つの代表曲「草原の輝き」とともにアグネスさんの物まねがされる際にも多く歌われていることでもお馴染みです。
この歌がある限りいつまでも日本人の心にひなげしの花は咲き続けることでしょう。
ブルー・ライト・ヨコハマ
④ブルー・ライト・ヨコハマ(1968.12.12)
歌:いしだあゆみ/作詞:橋本淳/作曲:筒美京平
歌は、後に女優としても大活躍されることになるアイドル歌手いしだあゆみさん。
呟くような優しくて綺麗な歌声が新しいヨコハマの世界へと誘います。
「ブルーライトヨコハマ・・・」という歌詞の音符への乗せ方がとってもチャーミングで大好きです。
作詞は、ジャッキー吉川とブルーコメッツの「ブルーシャトウ」やザ・タイガースの「君だけに愛を」などを手掛け、「GS(グループサウンズ)で最も売れた作詞家」と称された橋本淳さん。
「歩いても、歩いても・・・」のフレーズがとっても印象的で後に映画のタイトルにもなった程。
作曲は「木綿のハンカチーフ」で登場した筒美京平さん。
シンプルなメロディーに聴き手の心を掴む魔力のようなものを感じます。
この曲でご自身初のオリコン1位を獲得し出世作となりました。
白い色は恋人の色
⑤白い色は恋人の色(1969.10.01)
歌:ベッツイ&クリス/作詞:北山修/作曲:加藤和彦
歌は、この曲で日本デビューを飾るアメリカ人女性デュオのベッツィー&クリス。
ベッツイさんとクリスさんの透明な歌声と高い歌唱力がとっても美しいハーモニーを奏でています。
英語の発音が混じる感じの日本語の歌唱は洋楽の雰囲気を醸し出し、さらなる郷愁を掻き立てるようです。
作詞・作曲は、「帰って来たヨッパライ」,「イムジン河」,「悲しくてやりきれない」でブレークした「ザ・フォーク・クルセダーズ」のメンバーだった北山修さんと加藤和彦さん。
作詞の北山修さんは、「戦争を知らない子供達たち」,「あの素晴らしい愛をもう一度」などの多くの名曲も手掛けられました。
作曲の加藤和彦さんは、グループ解散後伝説のロックバンド「サディスティク・ミカバンド」を結成されたりと、70年代以降のミュージック・シーンをリードし、日本を代表する重鎮になられます。
この曲を聴くたび、アコースティックサウンドに優しい歌詞が心地よく揺れるのを感じます。
あまりにも綺麗に溶け合うハーモニーのために、今日の今日まで、ベッツイさんとクリスさんは姉妹だと思っていました。
私も誰かとこの曲をギターを弾きながらハーモニーしてみたいなあ・・・言うて。
恋の季節
⑥恋の季節(1968.07.20)
歌:ピンキーとキラーズ/作詞:岩谷時子/作曲:いずみたく
歌は、17歳の女性ボーカル今陽子さんと4人組のコーラス隊で結成されたピンキーとキラーズ。
作詞は、「恋のバカンス」,「君といつまでも」,「男の子女の子」,「逢いたくて逢いたくて」などの多くの名曲を手掛けられた岩谷時子さん。
作曲は、「見上げてごらん夜の星を」,「世界は二人のために」,「夜明けのスキャット」などの大ヒット曲を生み出したいずみたくさん。
瑞々しくて情熱的な歌詞とシンプルでキャッチーなメロディー、そして洋楽チックなアレンジが見事にマッチしています。
山高帽をかぶり大人顔負けの高い歌唱力で凛として歌う今陽子さんのボーカルとちょっぴりお茶なキャラクターのキラーズのコーラスワークが絶品で、オリコン17週1位という不滅の大ヒットを記録しました。
また逢う日まで
⑦また逢う日まで(1971.03.05)
歌:尾崎紀世彦/作詞:阿久悠/作曲:筒美京平
歌は、もみあげがトレードマークの日本人歴代トップクラスの歌唱力を誇った尾崎紀世彦さん。
日本人離れした声量でダイナミックに歌い上げる尾崎さんでなくてはこの曲は成立しません。
作詞・作曲は阿久悠先生と筒美京平先生の日本歌謡史上最強コンビ。
別れの歌なのですが、「ふたりでドアを閉めて、ふたりで名前消して」は、男女共に納得した別れを未来への希望あるものとして描き、新たな時代の男女関係の始まりを暗示しています。
昭和歌謡はイントロも絶品なんですが、その代表格がこの曲。
編曲もされた筒美さんの物語りをダイナミックに展開させる手法はもう見事としか言いようがありません。
歌唱と歌詞とメロディーと演奏がこれでもかとばかりに合致して普及の名作となりました。
紆余曲折あって完成したこの楽曲。
阿久悠先生の手によって書き直される前のタイトルが、グループサウンズのグループ ズー・ニー・ブーの「ひとりの悲しみ」。
聴き比べてみるのもおもしろいかも。
天使の誘惑
⑧天使の誘惑(1968.05.01)
歌:黛ジュン/作詞:なかにし礼/作曲:鈴木邦彦
歌は、グループサウンズ全盛期の中で、アイドル歌謡の先駆けとなった黛ジュンさん。
当時20歳だとは思えないとっても大人びた雰囲気で、代名詞とも言えるミニスカートとパワフルでパンチの利いた歌声が多くの人の心を魅了しました。
作詞は、「恋のフーガ」や「エメラルドの伝説」などを手掛けたなかにし礼さん。
作曲は、「恋の奴隷」や「さらば涙と言おう」などを手掛けた鈴木邦彦さん。
黛さんのアイドル性に可愛らしい歌詞・キャッチーな曲調・ハワイアン風サウンドが見事に調和しています。
軽快なイントロから始まり最後まで聴き手の心をキャッチするこの曲は今聴いても全然古臭くなく、現代をも超える名曲だと言えます。
芽生え
⑨芽生え(1972.06.05)
歌:麻丘めぐみ/作詞:千葉和也/作曲:筒美京平
歌は、かぐや姫を彷彿とさせる「御姫様顔」と「姫カット」で人気を博した麻丘めぐみさん。
清楚な佇まいと高い歌唱力で見る人を引き込む魅力はもはや魔力と言ってもいいくらいです。
山口百恵さんや松田聖子さん以前にこんな凄すごいアイドルがいたなんて衝撃的です。
作詞は、「わたしの彼は左きき」の他、麻丘めぐみさんの一連のヒット曲や、「年下の男の子」,「ひと夏の経験」を手掛けた千葉和也さん。
歌詞に全く出て来ないフレーズの「芽生え」をタイトルにしたのは何か意味があるのでしょうね。何に対する芽生えなのでしょうか?
この曲でデビューされたことから、歌手としての「芽生え」なのでしょうか、歌詞を読み解こうとすればする程、分からなくなります。
作曲は、「木綿のハンカチーフ」,「ブルーライト・ヨコハマ」,「また逢う日まで」で登場した筒美京平さん。
TOP10に4曲も入るなんて、いかに昭和歌謡曲の帝王だったかが分かります。
ほぼAメロとBメロだけのシンプルな曲調のこの曲。特にBメロが秀逸で終わり方も絶品で大好きです。
あの鐘を鳴らすのはあなた
⑩あの鐘を鳴らすのはあなた(1972.03.25)
歌:和田アキ子/作詞:阿久悠/作曲:森田公一
歌は、この楽曲でレコード大賞の最優秀歌唱賞を受賞された和田アキ子さん。
パワフルな歌唱とその存在感は絶大です。
作詞は、大御所阿久悠さん。
この楽曲は、手掛けられた数多くの作品の中でも名作中の名作と評されています。
シンプルな歌詞だからこそ真っすぐに人々の心を掴つかむ強さと優しさがあるのでしょう。
作曲は、「ひなげしの花」で登場された森田公一さん。
編曲もされていてダイナミックな展開はもう見事と言う他ありません。
歌唱+歌詞+メロディー+音の完全体。
大友康平さんやクレイジーケンバンドなど多くのアーティストがカバーしています。
私にもこの歌を歌い上げられる歌唱力があったらと思わせる素晴らしい楽曲です。
恋のダイヤル6700
⑪恋のダイヤル6700(1973.12.05)
歌:フィンガー5/作詞:阿久悠/作曲:井上忠夫
歌は、沖縄県出身の男性4人と女性1人の5人兄弟で結成されたボーカルグループのフィンガー・ファイブ。
構成とパフォーマンスの特徴から、日本版「ジャクソン5」とも称されました。
メインボーカルはトンボ型のサングラスがとっても印象的なハイトーンボイスの4男晃さん。可愛らしさ溢れる最年少の妙子ちゃんもお茶の間の人気を博し、洋楽調のおしゃれでキャッチーな曲調とダンス&コーラスのパフォーマンスで一世を風靡しました。
作詞は、大御所阿久悠さん。後にピンクレディーの楽曲も手掛けられますが、常に時代の最先端をリードされていることが分かります。
作曲は、グループサウンズの「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」でリードボーカルとフルートそして作曲も担当して「ブルー・シャトウ」を大ヒットさせた井上忠夫さん。
後に井上大輔と改名し、「ボヘミアン」,「2億4千万の瞳」,「ランナウェイ」などキャッチーなポップソングでは右に出る者はいない作曲家となられます。
冒頭の電話の着信音から「リンリンリリン・・・」のハーモニーで一気に聴き手の心を掴み、最後までワクワクさせる魔法がこの楽曲にはあります。
異邦人-シルクロードのテーマ-
⑫異邦人-シルクロードのテーマ-(1979.10.01)
歌:久保田早紀/作詞:久保田早紀/作曲:久保田早紀
歌は、ピアニストでシンガーソングライターの久保田早紀さん。
1970年代初頭から本格的に認知され始めたシンガーソングライターの中で、荒井由実さん,中島みゆきさん,五輪真弓さん,小坂明子さんなどの女性アーティストたちに続くように、久保田さんもこの楽曲で79年にセンセーショナルなデビューを果たします。
ダイナミックなイントロから始まり、当時流行していたエーゲ海,地中海などの異国情緒満載で展開されるこの楽曲は、ピアノを弾きながら歌う久保田さんの美しくて神秘的なイメージも相まって大ヒットしました。
「ちょっと振り向いてみただけの異邦人」のフレーズはとってもキャッチー。
この曲を聴くたびに、大自然の中で楽しそうに遊んでいる子供たちと日本から来た孤独な旅人の対比的な姿が目の前に広がります。
後年、ZARDがB’zの松本孝弘さんとのコラボレーションでカバーし話題になりました。
また、石井竜也さんのカバーもとっても素晴らしいです。
聴き比べてみてください!
さらば恋人
⑬さらば恋人(1971.05.01)
歌:堺正章/作詞:北山修/作曲:筒美京平
歌は、「ジャッキー吉川とブルー・コメッツ」と共にGS(グループ・サウンズ)を牽引していた「ザ・スパイダース」のリードボーカルだった堺正章さん。
グループ解散後にソロ歌手としてこの楽曲でデビューし、以降歌手の他、司会業,俳優,コメディアンと多方面で活動され、日本芸能会を代表するエンターテイナーとして君臨されます。
作詞は、「白い色は恋人の色」でも登場した北山修さん。
シンプルな歌詞がその情景を鮮明に表し、聴き手の心の琴線を揺らします。
作曲・編曲は、この楽曲で5曲目の登場の筒美京平さん。
さすが、これぞ王道歌謡曲。
時の過ぎゆくままに
⑭時の過ぎゆくままに(1975.08.21)
歌:沢田研二/作詞:阿久悠/作曲:大野克夫
歌は、GS(クループサウンズ)の「ザ・タイガース」で人気を博した「ジュリー」こと沢田研二さん。
グループ解散後ソロ歌手としてその高い歌唱力と奇抜なメイクや衣装で音楽シーンのトップを走って行くことになりますが、これはその少し前の曲。
切々と歌い上げるジュリーの歌声はこの楽曲の世界観をさらに深め、聴き手の心を切なさと悲しみで満たします。
作詞は、大御所阿久悠先生。この楽曲で5曲目の登場です。
「壊れたピアノで想い出の歌 片手で弾いては溜息ついた」は私のお気に入りフレーズN0.1。
作曲・編曲は、「ザ・スパイダース」のメンバーだった大野克夫さん。
鳴くようなエレキギターのアレンジは秀逸にて絶品。
この後も「勝手にしやがれ」,「サムライ」,「ダーリング」,「カサブランカ・ダンディー」などの沢田研二さんの一連の大ヒット曲を手掛けて行きます。
あなた
⑮あなた(1973.12.21)
歌:小坂明子/作詞:小坂明子/作曲:小坂明子
歌は、ピアニストでシンガーソングライターの小坂明子さん。
当時16歳という若さでこんな悲しい離別の歌をこれ程までに力強く歌い上げるとは、当時の国民は度肝を抜かれたことでしょう。
「もしも私が家を建てたなら・・・」で始まる歌詞は、夢に描いていた家の内装や環境や日常を紡いでいきます。でも本当に望んでいる「あなた」の消息が分からないという事実。子犬の横に、坊やの横に、そして私の横にあなたはいない。
ダイナミックな展開で終わるストーリー。
静寂の後には深い余韻が残ります。
ひと夏の経験
⑯ひと夏の経験(1974.06.01)
歌:山口百恵/作詞:千葉和也/作曲:都倉俊一
歌は、昭和を代表する伝説のトップアイドル山口百恵さん。
オーディション番組「スター誕生」で共にデビューした森昌子さん・桜田淳子さんと共に「花の中三トリオ」と呼ばれ国民的トップアイドルとして一時代を築かれました。
作詞は、「年下の男の子」や「私の彼は左きき」など非常に分かりやすいキャッチーな歌詞を書かれる千葉和也さん。
この楽曲での真逆とも言える際どい内容には思わずドキっとしてしまいますが、「愛は尊いわ。」にすべてが集約されているように思われます。
作曲は、「どうにも止まらない」や「個人授業」など山本リンダさんやフィンガー5、そして「ペッパー警部」,「S・O・S」,「UFO」などのピンクレディーの一連の大ヒットソングを世に出した日本歌謡曲の巨匠都倉俊一さん。
イントロも印象的で馬飼野康二さんのとってもダイナミックな編曲は絶品にて秀逸です。
大人たちの戦略に立ち向かうように、『一番大切なものはまごごろです。』と言い切った百恵さんの覚悟に感服します。
年下の男の子
⑰年下の男の子(1975.02.21)
歌:キャンディーズ/作詞:千葉和也/作曲:穂口雄右
歌は、ラン(伊藤蘭さん)・スー(田中好子さん)・ミキ(藤村美樹さん)の3人組コーラスグループキャンディーズ。
1970年代後半にピンクレディーと共に国民の人気を二分しました。
ランさんが初のセンターを務め、キュートな歌詞と共に真似をしやすい可愛い振り付けがとってもマッチし、キャンディーズ初のヒットシングルとなります。
作詞は、「ひと夏の経験」でも登場した千葉和也さん。
作曲は、「春一番」や「微笑みがえし」など多くのキャンディーズの曲を手掛けた穂口雄右さん。
2019年に伊藤蘭さんがソロ歌手活動を開始した際、懐かしむ人たちと共に初めて聴く人たちの間でこの曲が蘇りました。
瀬戸の花嫁
⑱瀬戸の花嫁(1972.04.10)
歌:小柳ルミ子/作詞:山上路夫/作曲:平尾昌晃
歌は、「わたしの城下町」でデビューし、天地真理さん・南沙織さんと共に「三人娘」と呼ばれ、1970年代を代表する女性アイドル歌手となった小柳ルミ子さん。
作詞は、「ひなげしの花」でも登場した山上路夫さん。
美しくて素直で情緒あふれる歌詞は多くの人の心を癒します。
幼い弟が、若くして嫁ぐ姉に行くなと泣くシーンには思わず涙腺が緩みます。
作曲は、「わたしの城下町」を始め、「草原の輝き」,「よこはま・たそがれ」の他、デュエット曲の「カナダからの手紙」を大ヒットさせた大御所平尾昌晃先生。
歌唱と歌詞とメロディーの一体感が素晴らしいまさに王道中の王道歌謡曲です。
喝采
⑲喝采(1972.09.10)
歌:ちあきなおみ/作詞:吉田旺/作曲:中村泰士
歌は、日本歌謡史上最高の歌唱力と語り継がれている伝説の歌手ちあきなおみさん。
1992年の芸能活動休止後も根強く復帰が期待されている程、その実力を惜しむ声は絶えません。
作詞は、内山田洋とクール・ファイブの「東京砂漠」を手掛け、ちあきなおみさんの多くの作詞を担当された吉田旺さん。
作曲は、「心のこり」や「北酒場」,「わたしの青い鳥」を手掛けた中村泰士さん。この「喝采」と後の「北酒場」で日本レコード大賞を二度受賞されることになります。
この曲は、鬼気迫る歌唱と歌詞の設定やダイナミックな曲調と相まって「ドラマチック歌謡」と言われ大ヒットしました。
買い物ブギー
⑳買い物ブギー(1950.06.15)
歌:笠置シズ子/作詞:服部良一/作曲:服部良一
歌は、戦前から活躍し、戦後「ブギの女王」として一世を風靡した笠置シヅ子さん。
躍動感のある楽曲と派手なダンスパフォーマンスで歌謡界に革命を起こし、スーパースターとして一時代を築きます。
大阪仕込みのサービス精神溢れるアクションは、初代ミスタータイガースの藤村富美男選手が見本にしたと言われる程。
今放送されているNHK朝の連続テレビ小説「ブギウギ」は、笠置シズ子さんをモデルとした主人公を描くドラマで、タイトルは代表曲の「東京ブギウギ」から。
作詞・作曲・編曲は、戦前から活動され、その「東京ブギウギ」の他、「蘇州夜曲」,「別れのブルース」,「青い山脈」,「銀座カンカン娘」など多くの大ヒット曲を手掛けた昭和の大音楽家服部良一先生。
全編大阪弁で繰り広げられる歌詞と愉快で軽快な曲調が見事までに合致し、現在にも十分通用する恐ろしい楽曲に仕上げられました。
「わてほんまによう言わんわ。」って、これ程の圧倒的・魅力的なフレーズは他にありません
長崎は今日も雨だった
(21)長崎は今日も雨だった(1969.02.01)
歌:内山田洋とクール・ファイブ/作詞:永田貴子/作曲:彩木雅夫
ムード歌謡を代表するコーラスグループ内山田洋とクール・ファイブのデビュー曲。
内山田洋さんをリーダーにリードボーカルの前川清さんをコーラス隊がバックアップします。
ご当地ソングと言えばクール・ファイブ。
この曲を始めとして「そして、神戸」や「中の島ブルース」,「東京砂漠」などが有名です。
前川さんのしゃくり上げながら大きなビブラートを駆使する独特な歌い方は聴き手の心を引き込みます。
その歌唱は桑田佳祐さんに多大な影響を与えたと言われています。
スニーカーぶる~す
(22)スニーカーぶる~す(1980.12.12)
歌:近藤真彦/作詞:松本隆/作曲:筒美京平
歌は、80年代を代表する男性トップアイドル近藤真彦さん。
「3年B組金八先生」で田原俊彦さん,野村義男さんとともに「たのきんトリオ」として人気を博し、この曲で歌手デビューします。
作詞・作曲は、松本隆さんと筒美京平さんの黄金コンビ。
最強のトップ同士の手によって制作されたこの曲は、オリコン史上初の「デビューシングルで初登場1位を獲得したシングル」となり、大ヒットしました。
近藤さんの純粋にしてやんちゃな感じも瑞々しく、全編“サビ”と言ってもいい構成で聴き手を全く飽きさせない楽曲となっています。
裸足の季節
(23)裸足の季節(1980.04.01)
歌:松田聖子/作詞:三浦徳子/作曲:小田裕一郎
歌は、1980年にデビューし現在に至るまで長きに渡って日本を代表する歌手として活躍されて来た松田聖子さん。
1970年代を代表するアイドル山口百恵さんの引退という時代の転換期にバトンを継ぐように現れ、以降女性トップアイドルの座を不動のものにしました。
デビュー曲のこの歌唱には、後年の洗練された透明でハスキーな歌声とは違って、ダイヤモンドの原石が磨かれる前という感じの太い声質と強い声量が初々しくてとっても魅力的です。
作詞と作曲は、初期の聖子さんの楽曲を手掛けられた、三浦徳子と小田裕一郎さんのコンビ。
聖子さんの魅力を遺憾なく発揮されています。
スローモーション
(24)スローモーション(1982.05.01)
歌:中森明菜/作詞:来生えつこ/作曲:来生たかお
歌は、花の82年組デビューアイドルの一人で、松田聖子さんと80年代のアイドル歌謡の人気を二分した中森明菜さん。
作詞・作曲は、来生えつこさん・来生たかおさん姉弟。
「セーラー服と機関銃」や「シルエット・ロマンス」の他、明菜さんのサードシングル「セカンド・ラブ」など、純粋な歌謡曲という印象の楽曲を作られています。
明菜さんのセカンドシングル「少女A」は一転してロック調の強い楽曲となりましたが、『「スローモーション」の方が好きです。』とテレビではっきりとコメントされる程、明菜さんは当初そのツッパリ少女路線に相当の抵抗感をもっていたそうです。
しかし、「セカンド・ラブ」以降ツッパリ少女路線を織り交ぜながら幅広い歌唱を展開されることになります。
恋におちて-Fall in love-
(25)恋におちて-Fall in love-(1985.08.31)
歌:小林明子/作詞:湯川れい子/作曲:小林明子
歌と作曲は、ピアニストでシンガーソングライターの小林明子さん。
カーペンターズのボーカルであるカレン・カーペンターさんに似ていると言われた歌声がとっても魅力的。そしてこの楽曲では特に綺麗な英語の発音と裏声が印象的です。
作詞は、翻訳家や音楽評論家として長きに渡り第一線で活躍されて来た湯川れい子さん。
「六本木心中」や「センチメンタル・ジャーニー」の他、「ランナウェイ」などのシャネルズの一連のヒット曲を手掛けられました。
「ダイヤル回して手を止めた」のフレーズは時代を感じさせますが、このフレーズでなければこの曲は成立しません。プッシュホン式でもスマホでもないダイヤル式だからこそ描ける乙女心の機微がそこにあります。
この楽曲で27歳でデビューした小林さんは、当時高校一年生の私にとって、他のアイドルとは全く違う大人の雰囲気があって、とっても綺麗なお姉さんって感じがして大ファンになりました。コンサートにも行って生でこの歌を聴きました。
主題歌となったテレビドラマの影響で、この曲が不倫の歌だと認知されがちですが、「I’m just a woman Fall in love」はそんな限定的なものではなく、普遍的で純粋な気持ちを表していると私は思っています。
後年、德永英明さんがカバーされました。より静かでより奥深い趣を感じます。
Outro.
いかがでしたか?
25曲中15曲が70年代の曲となりました。
改めて歌謡曲とは、シンプルな歌詞と分かりやすいメロディーにダイナミックな編曲と演奏で成り立っていると感じました。
ニューミュージックやロックなどの浸食を受けない純粋な歌謡曲というものがそこにはありました。
そして何より突出して際立つイントロ。
インターネットで簡単に消費される現代では、聴き手をいち早くキャッチするため、イントロは極端に短くなり、あるいは不必要とまでみなされ、いきなり歌が始まる楽曲ばかりになりました。
イントロとは、ただ単に楽曲の始まりを知らせるものではなく、その世界に招き誘う案内人としての大きな役割を果たしていたんだと改めて思いました。
そして楽曲を見事なまでに歌いきる歌手の力量と存在感。
アイドルと言っても、実力不足と思われるような人は一人もいませんでした。
本当に素晴らしいスターのみなさん。
1969年生まれの私にとって、幼少期はどんなにいい時代だったのかと胸がいっぱいになります。
私の情緒の大きな部分は歌謡曲によって育まれたといってもいいかも知れません。
今回、昭和歌謡曲の名曲の数々をじっくりと聴き直し、改めてその魅力に浸りました。
どうですか?あなたも昭和歌謡曲を聴いてみたくなりましたか?
次回は私の大好きな80年代洋楽TOP20でお会いしましょう。
最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
まとめ
楽曲 | 歌手 | 発表 | |
1 | 木綿のハンカチーフ | 太田裕美 | 1975 |
2 | 思秋期 | 岩崎宏美 | 1977 |
3 | ひなげしの花 | アグネス・チャン | 1972 |
4 | ブルー・ライト・ヨコハマ | いしだあゆみ | 1968 |
5 | 白い色は恋人の色 | ベッツイ&クリス | 1969 |
6 | 恋の季節 | ピンキーとキラーズ | 1968 |
7 | また逢う日まで | 尾崎紀世彦 | 1971 |
8 | 天使の誘惑 | 黛ジュン | 1968 |
9 | 芽生え | 麻丘めぐみ | 1972 |
10 | あの鐘を鳴らすのはあなた | 和田アキ子 | 1972 |
11 | 恋のダイヤル6700 | フィンガー5 | 1973 |
12 | 異邦人-シルクロードのテーマ- | 久保田早紀 | 1979 |
13 | さらば恋人 | 堺正章 | 1971 |
14 | 時の過ぎゆくままに | 沢田研二 | 1975 |
15 | あなた | 小坂明子 | 1973 |
16 | ひと夏の経験 | 山口百恵 | 1974 |
17 | 年下の男の子 | キャンディーズ | 1975 |
18 | 瀬戸の花嫁 | 小柳ルミ子 | 1972 |
19 | 喝采 | ちあきなおみ | 1972 |
20 | 買い物ブギー | 笠置シズ子 | 1950 |
21 | 長崎は今日も雨だった | 内山田洋とクール・ファイブ | 1969 |
22 | スニーカーぶる~す | 近藤真彦 | 1980 |
23 | 裸足の季節 | 松田聖子 | 1980 |
24 | スローモーション | 中森明菜 | 1982 |
25 | 恋におちて-Fall in love- | 小林明子 | 1985 |
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