<Opening>
こんにちは。
55歳になりました。犬好きギター少年 mitsuru..です。
<Wonderful Wonder Words>にお越しくださいましてありがとうございます。
毎回いろいろなジャンルからの特集記事をお送りしておりますが、今回も前回に引き続き音楽のジャンルから洋楽の特集、
題して、
<JOHN LENNON and PAUL McCARTNEY solo MY BEST 20×2>
をお届けしたいと思います。
当初は、Paul McCartneyさんの全カタログを網羅した上でのMY BESTに取り組もうとしていたのですが、今後の予定としていたJohn LennonさんのMy Bestと同一記事内で並行展開にすれば更に面白くなるのではいかと思い立ち、John & Paul それぞれのMy Best 20×2とする内容にしました。
果たしてどのようなランキングになるでしょうか。
二人の素晴らしい楽曲のオンパレード。
最後までお楽しみください。
<John Lennon と Paul McCartney>
ランキングの前に、二人の簡単な関係性について…
●生まれ:
二人ともかつては港湾都市として栄えたイグランドのマージーサイド州リバプールの出身。
Johnが1940年10月、Paulが1942年6月の生まれなのでJohnが2つ上のお兄さん。
●出逢い:
1957年7月6日、教会にて運命の出逢い。
そしてJohnのバンド「The Quarry Men」へPaulが加入。
●デビュー:
「The Beatles」として1962年10月5日にシングル「Love Me Do」でイギリスメジャーデビュー。
Johnがリーダーでリズムギター、Paulがベースを担当。同時にそれぞれにボーカルを担当。
●世界へ:
1964年にアメリカ上陸。
4月にビルボードシングルチャートの1位~5位を独占するなど音楽シーンを席巻し世界的ロックバントとなる。
●代表曲:
共作曲もあるが、主にそれぞれの作詞・作曲で楽曲制作がなされている。
<Johnの代表作>
『Please Please Me』,『She Loves You』,『A Hard Day’s Night』,『Help!』,『In My Life』,『Strawberry Fields Forever』,『All You Need Is Love』,『Come Together』など。
<Paulの代表作>
『Love Me Do』,『All My Loving』,『Can’t Buy Me Love』,『Yesterday』,『Here,There and Everywhere』,『Hey Jude』,『Let It Be』など。
●パワーバランス:
デビュー当初はリーダーのJohnの存在感がPaulを上回っていたが、徐々にPaulがその才能を発揮しバンド内での両輪としての地位を高めて行くこととなる。
特にロックの金字塔として称賛された1967年発表の8作目のアルバム『Sgt.Pepper’s Lonely Hearts Club Band』では完全にPaulが主導権を握ることとなる。
●解散:
1969年9月20日、John脱退。
1970年4月10日、Paul脱退。ビートルズ事実上解散。
●ソロ活動:
JohnはOno Yokoとともに「Plastic Ono Band」を結成。
反戦や反体制活動と共に音楽活動を展開。
代表作は『Imagine』や『Happy Xmas(War Is Over)』,『(Just Like a) Starting Over』など。
PaulはLindaとともにソロ活動を展開し1971年にバンド「Wings」を結成。
解散後も精力的にソロ活動を展開。
代表作は『Band on the Run』や『My Love』,『Silly Love Songs』など。
●Johnの死:
1980年12月8日、凶弾に倒れる。40歳。
●その後:
1994年~Paulを中心にJohnが遺したデモ音源を楽曲に仕上げる「アンソロジープロジェクト」を敢行。
2023年11月には最後のシングルとして『Now and Then』を完成させ発表。
<Ranking>
それでは、ランキングに参ります。
まずは1位~10位の発表です。
No. | JOHN LENNON | PAUL McCartney |
1 | Happy Xmas (War Is Over) | My Brave Face |
date | single John Lennon and Yoko Ono and the Plastic Ono Band with the Harlem Community Choir 1971.12.01(US) | Album: 『Flowers in the Dirt』(14th) Paul MacCartney 1989.06.05 |
感想 | Johnの1位は『Happy Xmas(War Is Over)』。 全ての人の幸せと世界の平和を祈る歌。この曲のお陰で、というよりJohnのお陰で毎年のクリスマスがより一層幸せなひと時になっているように思います。 世界で最も貴重で掛け替えのないクリスマスソング。 大切な仲間と共に歌いたい。 涙なしには聴けず涙なしには歌えない歌が毎年の暮れにやって来ます。 | Paulの1位は『My Brave Face』。 エルビスコステロと共に制作されたとってもキャッチーな胸躍らせるポップの王道ソング。 意外だと思われる方も多いかと思いますが、どうしてもこの曲が1位なのです。 もし私が野球選手なら打席に向かう時にこの曲をかけて欲しい。 1990年の東京ドーム公演の熱狂は今も私の幸せの中にあります。 |
2 | Imagine | Tug of War |
date | Album: 『Imagine』(2nd) John Lennon 1971.09.09(US) | Album: 『Tug of War』(11th) Paul MacCartney 1982.04.26 |
感想 | 世界で一番聴かれ、歌われ、そして愛されている歌といっても過言ではないでしょう。 ピアノのイントロで全ての人々の心を一つにする力と全ての人の心を癒す優しさを持つこの曲は、今この時も世界のどこかで聴かれ歌われていることでしょう。 いつまでも地球上にこの曲が生き続けて行くことを祈ります。 | 1980年12月のJohnの死、1981年4月のWingsの解散という大きな困難を乗り越えて発表されたアルバム『Tug of War』。 そのタイトル曲であるこの楽曲は、非常に崇高で格調の高い曲調と構成で彩られた名作中の名作です。 コーラスワークも非常に澄んでいて、サウンドも極めてドラマティックで素晴らしい完成度を誇っています。 PaulにとってJohnの『Imagine』であるとの評価を受けたのも十分頷けます。 「Tag of War」とは「綱引き」のこと。その相手はJohnだったの?Paul。 |
3 | Mother | Mull of Kintyre |
date | Album: 『John Lennon/Plastic Ono Band』(1st) John Lennon 1970.12.11 | single Wings/1977.11.14 |
感想 | 厳かな鐘の音からの突然の叫び声。 何度聴いても畏怖の念が止めどとなく溢れて来ます。 至ってシンプルなバンドサウンドと至ってシンプルな歌詞からJohnの魂を感じずにはいられません。 ピアノはJohn。ドラムはRingo Starr。 そしてベースはKlaus Voormannだなんて。 The Beatlesのデビュー前から親交があり、画家でもある彼はThe Beatlesのアルバム『Revolver』,『The Beatles Anthology』3部作のジャケットデザインをされた人でもあります。 | “Mull of Kintyre”とはスコットランド南西部のキンタイヤ半島の先端にある岬。 スコティッシュ・ワルツという形式の楽曲でアコースティックギターの音色とともにスコットランドの民族楽器で有名なバグパイプが極めて情緒豊かな音色を奏でています。 転調するところに至っては旅情感は否応なく高まりまるで岬の上に立って潮風に吹かれているような錯覚にさえ陥ります。 そしてそこで歌っているのは君でしょうか。 私と友と岬で出逢った善き人たちと一緒になって。 犬を連れて。雨雲は去って。 |
4 | (Just Like) Starting Over | Let Me Roll It |
date | Album: 『Double Fantasy』(6th) John Lennon 1980.11.17 | Album: 『Band on the Run』(5th) Paul MacCartney and Wings 1973.11.30 |
感想 | 1975年10月に誕生した息子Seanくんの養育に専念するためにほぼ5年もの間音楽活動を休止していたJohn。 その復帰作『Double Fantasy』の第一弾シングルがこの曲です。 しかし全英・全米ともにシングルチャートで1位を獲得したのは死後のこと。 リズミカルでアップテンポな曲調に乗せて未来への希望に満ちた力強い歌声でこれ以上ない傑作を世に出したというのに。 当時11歳だった私の食卓に飛び込んできた驚愕のニュース。 今も記憶に残っています。 | シンセサイザーにベースとエレキギターの音色が際立つとっても静かで厳かなロックナンバー。 「あなたを思う私の心は車輪のよう。どうかあなたの下へたどり着かせてください。」という心情の繰り返しに主人公の恋心の一途さと切なさが伝わって来ます。 Johnと一緒に歌いたかったというPaulの想いの深さを知ってますますこの曲が好きになりました。 |
5 | God | This One |
date | Album: 『John Lennon/Plastic Ono Band』(1st) John Lennon 1970.12.11 | Album: 『Flowers in the Dirt』(14th) Paul MacCartney 1989.06.05 |
感想 | 信じないものは、魔法,易経,聖書,タロット,ヒトラー,イエス・キリスト, J・F・ケネディー,仏陀,呪文,ヒンドゥー教,ヨーガ,王様,エルヴィス・プレスリー,ボブ・ディラン,ビートルズ。 信じるものは、自分自身とヨーコ。 切々と淡々とそれまでの自分自身と決別し新たな誕生を宣言している歌。 ハスキーな歌声に覚悟のような気を感じます。 親愛なる友とはPaul。 夢は終わったなんて言わないでよ、John。 | Paulの優しさと美しさが詰まりに詰まった癒し力満載のスローロックナンバー。 一見シンプルな曲調と思わせといて、実はいくつものパーツの連携の上でさまざまなバリエーションに富んだ変化が散りばめられていて、聴く者を最後の最後まで楽しませてくれる楽曲となっています。 言葉遊びも絶妙で耳触りもこの上なく心地よいです。 リリース当初歌詞が分かっていなくても “Thank you for the smile” だけ聞き取れてそれだけですごく嬉しかったのを覚えています。 |
6 | How? | Wanderlust |
date | Album: 『Imagine』(2nd) John Lennon 1971.09.09(US) | Album: 『Tug of War』(11th) Paul MacCartney 1982.04.26 |
感想 | Johnの優しい歌声が非常に印象深いバラードの名曲。 心の声を痛々しくも切々と吐露する歌詞は多くの人々に深い共感をもたらすものとなっています。 心に染み入るのはJohnの決して力強くはない自信なさげな声。 でもその核には素直で透き通る程の優しさがあると感じます。 「涙が出るほど美しい曲」だと言ったのはGeorge Harrison。 とても感慨深いものがあります。 | “wanderlust”とはこの曲においては「航海への情熱」。 ただその中に傷付いた心を吐露する一面もあり複雑な情緒を醸し出しています。 最も印象的なのは何と言ってもPaulの優しくて伸びやかで綺麗な歌声。 そして美しさの極みに達する旋律。 ラストに至ってはメロディーの交差がさらにこの曲の美しさを増幅させ、完璧な完成度へと導いています。 今回初めて出逢うことが叶った楽曲。本当に出逢えて幸せです。 |
7 | Jealous Guy | No More Lonely Nights |
date | Album: 『Imagine』(2nd) John Lennon 1971.09.09(US) | Album: 『Give My Regards to Broad Street』(soundtrack) Paul MacCartney 1984.10.22 |
感想 | 美しいピアノの旋律で始まるJohnのバラードの最高峰的楽曲。 ビートルズ時代の『White Album』の頃に原曲がほぼそのままの曲調で完成されており後に歌詞を大幅に変更したという経過があって、楽曲の制作過程を見ているようで大変興味深いです。 これまで主人公に対して「嫉妬深い男」というより「寂しがり屋さん」という印象を抱いていました。 間奏の口笛にもそんなどうしようもなくやるせない気持ちが籠っているような気がしていました。 | PaulのPaulらしさが余すことなく染み出ているバラードの名曲。 静かで切ない情緒たっぷりの曲調とストレートな歌詞が主人公の存在を際立たせています。 特別ではなくすぐそこにいる友達のような実在感で溢れていて今すぐにでも励ましてあげたい衝動に駆られます。 終盤に至るギターソロも主人公の裏の心情を救っているようで誠に素晴らしい役割を果たされていると思います。 |
8 | Cold Turkey | Band on the Run |
date | single Plastic Ono Band 1969.10.20 | Album: 『Band on the Run』(5th) Paul MacCartney and Wings 1973.11.30 |
感想 | シンプルなバンド編成での削ぎ落し加減が逆に凄みを増幅させているような感じがする骨太ロックナンバー。 Johnがビートルズの楽曲として提案した際にメンバー全員に却下されたとのこと。 BBCなどで放送禁止曲に指定されたり、女王への勲章返還の一要因にもなったりとJohnにとっては何かと因縁の曲となっています。 ラストの狂い方は尋常ではなく、でもやはりどこか中毒性もあって私にとってはほっておけない曲となっていました。 | PaulのThe Beatles解散後の最高傑作として高く評価された名盤『Band on the Run』のタイトル曲。 三章の異なる部門の組み立て構成式の聴き応え満載の楽曲です。 Led Zeppelinの『Stairway to Heaven』,Queenの『Bohemian Rhapsody』と並ぶ私にとっての三大組曲の一つです。 |
9 | Gimme Some Truth | Off the Ground |
date | Album: 『Imagine』(2nd) John Lennon 1971.09.09(US) | Album: 『Off the Ground』(15th) Paul MacCartney 1993.02.01 |
感想 | ゆったりとした曲調に難解な言葉の羅列が独特の世界観を醸し出しているスローロックチューン。 イントロがなくいきなり言葉が始まるインパクトのある始まり方が特徴的で、合わせてJohnによる心地よいエレキギターのアルペジオの音色にGeorge Harrisonのスライドギターの絡む様も非常に自然なプロフェッショナルさを感じさせます。 やはり二人のギタリストとしてのキャリアとその信頼関係はとてつもないですね。 | 軽快で小気味よいサウンドとアレンジによって聴く人の心を晴れやかにする作品です。 壮大さと穏やかさに満ちた曲調から、鳥と一緒に軌道に乗って大空を舞う映像が浮かんで来ます。 歪を利かせたギターサウンドも見事に調和して楽曲の豊かさを叶えています。 手拍子もとっても心地よく、この曲を聴くといつも自然に笑顔になって体も横揺れ状態になっています。 |
10 | Grow Old with Me | Pipes of Peace |
date | Album: 『Milk and Honey』(7th) John Lennon & Yoko Ono 1984.01.27 | Album: 『Pipes of Peace』(12th) Paul MacCartney 1983.10.31 |
感想 | 『一緒に歳を取って行こう。』っていうとっても素直で純粋な歌詞が涙を誘うJohnの究極のラブソング。 1980年に録音されていたデモ音源がJohnの死後手を加えられ日の目を見ることとなりました。 リズムボックスにピアノの音色、そしてJohnの優しくてか細い声。 それだけでもう十分です。 アンソロジー・プロジェクトでは最後まで未完のままで終わってしまって、もし完成していたらどんな曲になっていたのかとも思いますが、これはこれでよかったのかも知れない。 この曲はJohnによるJohnだけの曲ということで。 | 前作『Tug of War』に引き続きジョージ・マーティンのプロデュースの下制作されたアルバム『Pipes of Peace』のタイトル曲。 穏やかな曲調とPaulの優しく澄んだ歌声が軽快なサウンドや美しいコーラスと相まって多くの幸福感を運んで来ます。 『Tug of War』との対となる反戦歌としての意味合いもあって、印象に残る世界観を醸し出しています。 |
続いては11位~20位までです。
No. | JOHN LENNON | PAUL McCartney |
11 | Love | The Song We Were Singing |
date | Album: 『John Lennon/Plastic Ono Band』(1st) John Lennon 1970.12.11 | Album: 『Flaming Pie』(16th) Paul MacCartney 1997.05.05 |
感想 | 「愛とは」を淡々と語り紡いでいく歌詞。 観念的・哲学的ではあるが、その前に分かりやすさが際立っていて、胸に染み入る水の音のように一滴一滴が心の波紋を広げて行きます。 演奏もフィルスペクターのピアノとJohnのアコースティックギターのみで構成されていて、感情における不要物というものを削ぎ落そうとしているようにも感じられます。 | 牧歌的な趣漂う名曲。 静かで穏やかなメロディーに刻まれる大きなリズムがこの上なく心地よくて情緒が澄んでいくのが分かります。 この曲のように、仲間と共に歌っていた歌とは何だったのか、いつも折りに触れて立ち返り歌う歌があっただろうか。 なんて自分の人生を歌という観点から振り返ってみるのも面白いかも知れないですね。 |
12 | Working Class Hero | Jet |
date | Album: 『John Lennon/Plastic Ono Band』(1st) John Lennon 1970.12.11 | Album: 『Band on the Run』(5th) Paul MacCartney and Wings 1973.11.30 |
感想 | Johnのアコースティックギター1本での弾き語り曲。 労働者階級を取り巻く社会情勢の描写を呪文のように淡々と繰り返して行く中で徐々に怒りや悲しみが込み上げて行くという展開に思わず引き込まれて行きます。 アコースティックギターの一定の奏法もそのリピートによって苦悩が渦巻いて行く様を見事に表現しています。 Green Dayのカバーも素晴らしいです。 最後Johnの声で〆るだなんて粋。 | “JET”とはPaulとLindaが飼っていた子犬(ラブラドール・レトリバー)の名前。 アルバム『Band on the Run』では1曲目の『Band on the Run』 からのメドレーのようなつながりがあって、もうこの2曲でもってアルバムの名盤さを決定付けているように感じます。 コーラスもギターやサックスなどのすべてのサウンドが粒立っていて聴き応え満載です。 Paul、JETくんはずっとPaulのことを好きでいますよ。 |
13 | Watching the Wheels | Junior’s Farm |
date | Album: 『Double Fantasy』(6th) John Lennon 1980.11.17 | single Paul McCartney and Wings 1974.10.25 |
感想 | 『Woman』に引き続くJohnの死後第二弾シングル。 息子Seanくんの育児専念のための主夫生活に対する世間の冷ややかな反応に対する答えを綴った楽曲。 達観の心情がこのような自然体で溢れる名曲を生んだのでしょう。 車輪の回転をイメージさせるピアノの音階が印象的でイントロから瞬く間に心を奪われてしまいます。 | 軽快で楽しさてんこ盛りのポップナンバー。 聴くや否や体は自然とリズムを取り聴き終わるころには元気になっているようにさえ感じます。 サビに至っては一緒に声に出して歌いたくなる衝動に駆られます。 1971年に結成されたPaulのバンド「WINGS」が大ヒットアルバム『Band on the Run』リリース後の全盛期を迎えていた時期、 バンドの結束力や一体感、充実感といったものが音からも伝わって来ます。 |
14 | Woman Is the Nigger of the World | Maybe I’m Amazed |
date | Album: 『Some Time in New York City』(3rd) John Lennon 1972.06.12 | Album: 『MacCartney』(1st) Paul MacCartney 1970.04.17 |
感想 | “nigger”という言葉は「虐げられている人々を指す言葉」であるとJohnは語っています。 アメリカでは放送禁止となったようですが、今の日本においてもこの言葉を使用すればその意図を推察するまでもなく忽ち誹謗中傷の的となることでしょう。 そんな論調をもろともせず、Johnの大迫力の歌唱はロックシンガーとしての頂点に達する凄さがあり、サックスを筆頭にアレンジされたサウンドは楽曲としての極致にあると思います。 こんな凄い楽曲を創り歌ったJohnに心から敬服いたします。 | Paulが妻のLindaに捧げた究極のラブソング。 情熱的な叫びが非常に印象的でメロディーもアレンジも完璧なクオリティーに達したPaulの最高傑作だと思います。 その裏で、精神的にビートルズ的なものから離れようとしてもどこかでビートルとてのアイデンティティーから完全に離れ切れないでいるもどかしさのようなものも感じます。 収録アルバム『McCartney』のリリースの1週間前にPaulがビートルズ脱退の発表。ビートルズは解散となります。 |
15 | Power to the People | My Love |
date | single Plastic Ono Band 1971.03.22(US) | Album: 『Red Rose Speedway』(4th) Paul McCartney and Wings 1973.05.04 |
感想 | パワフルでどストレートなメッセージソング。 いきなり始まる大迫力のコーラスへのJohnの第一声の入り方がたまらなくかっこよくて鳥肌が立ちます。 ベトナム戦争の最中でもありビートルズ解散に絡む訴訟の真っ最中でもあった時期だからこそ大衆に対するだけでなく自らを鼓舞し立ち上がろうとしてこの歌を作り歌ったのかも知れません。 | Paulの初期のバラードの傑作。 美しさと清らかさ満載のラブソングの王様的存在感があり癒し力は絶大なものがあります。 この先未来ずっと生き続けて行くに違いないスタンダードの風格もあり、これからも多くの人の心を溶かして行くのでしょう。 こんなにも素晴らしいラブソングを捧げられたLindaさんはラブソングの女王様ですね。 |
16 | Nobody Loves You (When You’re Down and Out) | Figure of Eight |
date | Album: 『Walls and Bridges』(5th) John Lennon 1974.09.26(US) | Album: 『Flowers in the Dirt』(14th) Paul MacCartney 1989.06.05 |
感想 | 落ち込んで憔悴している人の背中をさするようにゆっくりと丁寧に語り掛けくれる、あるいは目の前に座りながら静かに寄り添ってくれる、そんな感じの歌です。 決して頑張れとは言わず、逆に誰かを批判することで慰めたりもせず、あくまでも客観的に自分の気持ちを言葉に置き換えて手渡ししているようです。 このような励ましや慰めを私はこれまでやって来られてたでしょうか。 静かなトーンでの語り掛けからの終盤での盛り上がり。 絶妙な抑揚。感激の極み。 | 1990年3月の Get Back Tour 東京ドーム公演 でオープニングを飾った記念すべき楽曲。 軽快なアレンジと伸びやかなテンポのロックチューンでありながらもPaulの叫びが終始貫かれていて、特に終盤の貯めてからのシャウトは千両役者の趣があって思わず「よっ!待ってました!!」と叫びたくなります。 この曲を聴くたびに、友に誘ってもらって観に行ったあの日あの時の興奮が蘇って来ます。 |
17 | Out the Blue | Freedom |
date | Album: 『Mind Games』(4th) John Lennon 1973.10.29(US) | Album: 『Driving Rain』(17th) Paul MacCartney 2001.11.12 |
感想 | アコースティックギターの切なくも美しいイントロから始まるスローバラード。 “out the blue””とは “何の前触れも無く”。 突如として現れて最愛の人となるYokoへ捧げたストレートなラブソングです。 時期的にYokoとの別居生活いわゆる「失われた週末」の直前に制作されたそう。 余計にJohnのか細い声に普通の人としての弱さと脆さを感じます。 | 2001.9.11のアメリカ同時多発テロ事件を受けて作されたメッセージソング。 地響きのようなリズムにはみんなで手を取り合って進んで行こうという強いメッセージが込められているように感じます。 サウンドやリズムは楽器というより人の手が作り出した音のよう。 そして楽曲としての分かりやすさと口ずさみやすさはまさに大衆歌として多くの人々の心に届いたに違いありません。 ラストの”Free—dom!”の絶叫には魂が解き放たれた感動があります。 |
18 | Woman | Come On to Me |
date | Album: 『Double Fantasy』(6th) John Lennon & Yoko Ono 1980.11.17 | Album: 『Egypt Station』(21th) Paul MacCartney 2018.09.07 |
感想 | Johnの死後にリリースされたシングルの第一弾。 Yokoや世界中の女性に対する思いが綴られた名曲中の名曲。 サビの部分のあやふやな感じが特に印象的で、照れて口籠っている感じがとても可愛らしくもあります。 “Woman”とはJohn曰く、”Girl”(=The Beatlesの6th Album 『Rubber Soul』に収録されたJohnによる名バラード) の成長した姿とのこと。 冒頭のつぶやき “For The Other Half of The Sky” とは「空の半分を占める女性達へ」という意味ですって。 | 少年の恋心と口説き文句がテーマの楽曲。 心躍るサウンドとリズムに乗って歌う白髪頭のPaulの姿には若かりし頃の面影を見ることができてこちらまでヤングなウキウキした持ちになります。 プロモーションビデオもとってもダンサブルでハッピー。 働く人々がこれだけ楽しかったら世の中もっとよくなるのにと思わずにはいられません。 もっと人生を楽しまなきゃって? Yes, I will. 同意します。 |
19 | The Luck of the Irish | Hope For The Future |
date | Album: 『Some Time in New York City』(3rd) John Lennon 1972.06.12 | single: Paul McCartney 2014.12.08 |
感想 | 北アイルランド問題を題材としたYokoとの共作品。 穏やかで懐かしさ漂うメロディーと郷愁誘うサウンドに乗せて歴史的悲劇に対する怒りを語る歌。 ケーナの音でしょうか。とっても心地いい。 Yokoと二人交互に歌う構成で二人それぞれのパートにそれぞれの良さがあってそれぞれが支え合って一つの歌になっているように感じられます。 同じく北アイルランド問題に対しては同年2月にPaulが『Give Ireland Back to the Irish』という曲を発表しています。 | 宇宙規模の壮大で神聖な雰囲気に満ち満ちた包容力絶大な楽曲です。 ただひたすら素晴らしく美しい。 こんな一大シンフォニーのような楽曲まで制作されていたと知ってとても感動しました。 私もほんの少しでも未来に希望が持てたらと思います。 |
20 | Real Love | Live and Let Die |
date | Soundtrack: 『Imagine:John Lennon』 John Lennon 1988.10.10 | single Wings 1973.06.01 |
感想 | Johnの最後20位は『Real Love』。 1979年10月に録音されたデモ音源が映画のサウントトラックに収録されていました。 元々Johnのソロとしての趣が強くあったのでどうしても今回のリストに入れたいと思いました。 アンソロジー・プロジェクトにおいて完成されたThe Beatlesの『Real Love1』もこのアコースティックギターを奏でながら細い声の優しい歌声で語られるJohnの『Real Love』も同じくらいに大好きです。 | Paulのラスト20位は『Live and Let Die』。 1973年公開の007の映画『LIVE AND LET DIE』の主題歌としてPaulの楽曲の中でも非常に高い知名度を誇る楽曲。 豪華で派手なアレンジと様々なパートが交差して展開していく様はまるで1本の映画を観ているような重量感と聴き応えがあります。 |
<まとめ>
No. | JOHN LENNON | PAUL McCartney |
1 | Happy Xmas (War Is Over) | My Brave Face |
2 | Imagine | Tug of War |
3 | Mother | Mull of Kintyre |
4 | (Just Like) Starting Over | Let Me Roll It |
5 | God | This One |
6 | How? | Wanderlust |
7 | Jealous Guy | No More Lonely Nights |
8 | Cold Turkey | Band on the Run |
9 | Gimme Some Truth | Off the Ground |
10 | Grow Old with Me | Pipes of Peace |
11 | Love | The Song We Were Singing |
12 | Working Class Hero | Jet |
13 | Watching the Wheels | Junior’s Farm |
14 | Woman Is the Nigger of the World | Maybe I’m Amazed |
15 | Power to the People | My Love |
16 | Nobody Loves You (When You’re Down and Out) | Figure of Eight |
17 | Out the Blue | Freedom |
18 | Woman | Come On to Me |
19 | The Luck of the Irish | Hope For The Future |
20 | Real Love | Live and Let Die |
<Ending>
いかがだったでしょうか。
Johnの曲をさらに深く、Paulの曲をさらに広く聴くことができて本当に幸せでした。
今回、二人のアーティストのMy Bestを並列で同時進行するという初めての試みをしてみました。
とっても興味深かったのは、JohnとPaulの楽曲がお互いを呼んでいるような、あるいはお互いに惹かれ合っているような感じがしたことです。
これまでのようにそれぞれ独立した単独のランキング作業では絶対に感じられなかったに違いない不思議な感覚。
『Imagine』と『Tug of War』,『How?』と『Wanderlust』,『Jealous Guy』と『No More Lonely Nights』・・・というように。
The Beatlesが解散してからはなおJohnはPaulを、PaulはJohnを常に意識していたのではなかろうかと思うのです。
そしてJohnの『How Do You Sleep?』がこのランキングから消えたのも当然の現象かと思います。
楽曲自体好きで最初はランキングに挙げていたのですが、PaulがJohnの隣にいる限り、この曲は私の心の中から消えて行かねばならなかったのです。
そして最後までJohnとPaulの二人だけの世界。
このランキングはハッピーエンドだったと信じています。
最後はPaulがJohnを抱きしめて仲直り。
というようなエンディングで・・・。
今回の特集は以上です。
最後までお付き合いいただきましてありがとうございました。
それでは御機嫌よう。さようなら。
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